流転工房

シンギュラリティをこの目に

萌える!経済白書 (河合良介)読了、、萌え市場の規模とそれを支える原資とは。


2005年4月に浜銀総合研究所が出した「萌え関連市場規模888億円」という調査レポートが有名だったらしい。

そういえば、野村総研も同年10月、鉄オタや車のマニアをひっくるめてマニア市場4110億円をレポートしていた。

本書は膨れ上がるマーケットをビジネス、統計、経済の観点から分析する表紙がおかしい経済白書。

萌えとはなんぞやという定義では、キャラや外見属性に対するフェティシズムとなり、また市場を支えるのは未婚男性のお財布(三十路独身男の年間娯楽費5136億円試算が面白い)とある。

なるほどなぁと思う。。独身男の財布の自由度はストライクフリーダムもびっくりだし。

それにアラサー未婚女性の財布が加われば、1兆円市場も夢ではないか。国内市場を支えるのは未婚男女と年金老人とは少し暗い話ではあるけど。

こうした統計分析も面白かったけど、ビジネスモデルの解説も勉強になった。

深夜アニメの制作費を補うための版権ビジネスや、エロゲーの損益分解点、ブロッコリー社の多額の設備投資がアニメ制作に費やした投資C/Fの行き過ぎであったこと、オリエント工業の躍進、メイド喫茶事業計画等々。

しかし、気をつけなければいけないのは「嗜好」ベースの市場なので、本書の用語だとスーパーニッチな産業の集積であること。

ドンピシャではまれば儲かるけど、次の一手がなければ、旬を過ぎての没落は避けられないという厳しい世界。(去年のゴンゾー上場廃止は悲しかった、、巌窟王良かったのに)

それでも廃れないのは、クリエイター魂という無償のエネルギーが源泉にあるとする意見は至言。

人は作り続ける。。時に孤独に、時にはチームで。


それにしても、本書のラストの方で、この市場は所帯もちが増えると収束するとあったけど、そうはならないとする、三十女とオタク君は永遠の平行線が語られるのはいろいろと痛すぎる。。