流転工房

シンギュラリティをこの目に

『下流喰い―消費者金融の実態』 武富士破綻の4年前。借金漬けのビジネスモデル。


ウチは、五〇〇万も六〇〇万も年収がある人にはカネは貸しません。

ウチが貸すのは、せいぜい年収四〇〇万まで。とくに年二〇〇万〜三〇〇万の客は、ウチにとっての優良顧客ですよ。


返済が二ヶ月もてば、まず元金分は回収できる。それ以降は完全な儲けだ。


利息分だけ支払い続け、永遠に元本が消えない返済モデルという「計画的なご利用」の実態はかくも恐ろしい。


当局に睨まれ、世論も厳しく、過去訴求の過払い金返還の法律に翻弄された消費者金融の一角は、本書刊行の4年後の現在、ついに崩れる。


借金イコール悪の30年前から、借金の肯定・推奨の現在に至るまで、CM等で広く認知されていたが、その裏界隈はあまりにも哀しく荒んでいた。

著者は、消費者金融は儲け過ぎたのだという。

「貸すも親切、貸さぬも親切」のモラルがある一方で、借金漬けに追い込み搾取に近い取り立てを続けてきた一面がある消費者金融
「下流」を喰う側、喰われる側の悪夢が消えて行くことを祈るばかり。