流転工房

シンギュラリティをこの目に

未来思考 10年先を読む「統計力」(神永正博)読了、、「逃げ遅れる人たち」は必読。。


統計データをもとに将来の問題点を見直しするというテーマ、、例えば「少子化問題」も出生率を上げれば解決なのかと、チャウシェスクの子供たちを例に見直している。この例では、産めよ増やせよの結果、一時的な人口オーナス(非就労人口による負荷増)で社会が逆に不安定になった事例を解説。

持ち出される「統計」にはフィルターや前もってストーリーが造られているケースがほとんどなので、本書筆者の問題提起は必思考。


で、面白かったグラフは、子供にかける教育費の最もリターンの多い時期は就学前の6歳時点までということを利益率で示すグラフや、就労者の人余りを示す雇用保蔵推計グラフ(恐ろしいグラフ。。)、定形非定型の中間の仕事が国内で減少していることを示すグラフ(本書元ネタ論文)等々。。


最後の定形職種の減少にもからんで、「逃げ遅れる人たち」の記述はめげる。

筆者のご実家の生業は靴職人。中国に仕事がシフトしていくも、中国産の低品質を見て、従来のビジネスモデルを維持した結果、すべて中国に仕事が移ってしまったという話。自身に技術力があったからこそ陥った境遇、、今のエンジニア稼業の未来を再確認する気になる。


各種統計から様々なテーマ、問題点を見出す本書の締めの言葉は至言。問題解決に動く前に問題をしっかり見積り、設計することが必要であるということ。それは先手のリスクヘッジにもつながるだろう。


私たちは、まるで初めから問題が決まっているような気分になっていますが、ここらでちょっと立ち止まって、「この問題は、本当に問題なのか?」ということを疑ってみてもよいのでは、と思います。


問題を考えるときの最大の罠は、問題にすべきではないことを問題にしてしまうこと、そして、問題にすべきことを問題にしないことにあるのです。