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シンギュラリティをこの目に

【PM】ローマ人の物語 最後の努力(塩野七生)から分割統治の負を学ぶ。 #gigofront


象は一口ずつ食べる、、広大な土地は分割して統治する。。巨大なものへの人類の知恵は分担。

ただし分離分割の仕方によっては、人員の増加を避けられず、コストと無駄が生まれていく事例は以下の通り。


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ローマの皇帝が属州民から徴収していた収入の10分の1の属州税とて、キケロが言ったように「安全保障費」であったことは、当時は属州民も納得していた。

なにしろローマ軍が国境を守ってくれているので、農民たちも安心して耕作に専念できていたからである。

しかもその「安全保障費」が収入の10パーセントでとどまっていた理由は、ローマ帝国が広域にわたっており、しかもその中で必要に応じて軍団を移動させたりする形での軍事力の融通システムが、経費の節約につながっていたからである。

広ければ、一人あたりの負担は少なくなる。狭ければ一人あたりの負担は増えるのだ。

中世の封建領主は、わずかな戦力しか持っていなかったに違いない。だが、少数でも戦力をもたなければ領主でいることはできなかった。つまり、必要がないときでも戦力は維持し続けねばならないということである。

時代は変わっても、この種の現象を生む要因は変わらないのではないかと思う。

そしてこれが、防衛面のみにしても帝国を分割し、各自に責任を分担させた「四頭制」下での防衛費の激増につながっていったのにちがいない。

繰り返すが、分担とは、現にあるものを分割して担当させただけでは済まないのである。