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シンギュラリティをこの目に

【PM】『災害ドクター、世界を行く!』災害医療には三現主義の極みがあるか、、歴史的災害の貴重な経験録。 #gigofront


歴史に残った大災害、戦場の医療を経験した著者の記録。

現場・現物・現実の極みがここにある。。まずは言葉の定義から。



「災害医療」と「救急医療」は別個のものである。

その違いは、患者の数と医療資源との関係である。

患者の数が多くて医療資源が乏しいのが、「災害医療」で、患者の数が少なくて医療資源が豊富なのが「救急医療」といえる。


本書では現場のリアルが生々しい、、現地の混乱はとてつもないのだろうけど、以下はありがちでわかりやすい。


途上国では平時にさえ医療スタッフ、施設、医薬品、衛生材料が不足がちだ。

そこに大災害で一度に何万という負傷者が出ると、資源はたちまち底をついてしまい、治療したくてもできなくなる。

その時に外国からの緊急援助を必要とするわけだが、国としてのプライドもあり、なかなか援助要請を出さない。

援助要請が出る頃には、混乱はピークに達しているのだろうか。それとも手遅れなのか、、現場の嘆きが聞こえてくるような哀しい現実。


それにしても気になるのは「災害ドクター」という職業があるわけではないみたい。通常業務を行っている医者看護師が、災害をトリガーに現地へ駆けつけるわけだけど、その間の待遇保証や代替要員配置等の仕組みはどうなっているのだろう。


実績をもって黙認されているのであれば、物語になってもインフラとはなりえないのだけれど。