流転工房

シンギュラリティをこの目に

ビジネスをとめるな!事業継続実践ガイドブック(日経BPムック)読了、、技術と体制の両面のバランス。


新潟県中越地震、、サーバ救助の為、崩壊寸前のデータセンターに突入したエンジニアがいたという。いや、誰か止めてあげて。


本書は事業継続というカウンタークライシスのヒントに満ちている。

まずは、守るべき事業機能とは何かの洗い出し。
例えば、本社機能(情報システム、広報、財務経理、原料調達・物流、人事総務等)、A事業(受注、製造、生産管理・出荷等)、B事業、、といった感じ。

次に体制。
対策本部長の下、スタッフとなる事務局、そして初動対応チーム(被害状況確認、拡大防止担当)と復旧対応チーム(ネットワーク、インフラ、アプリ復旧)。相互情報共有はスタッフが管理。


また、対外調整、、本書ではクライシスコミュニケーションとして紹介される。ステイクホルダー側の心情、、すなわち何が起こったのか、自分への被害の有無は(直接・間接)、被害を受けた場合の批判、対応は適切だったのか、不備があれば怒りの増大。これらの心情の発展を押さえるために適切な初期対応、公表対応、収束対応の三段階が必要になる。


そして技術面。
リカバリーは往々にして属人性で、かつ初期構築の検証で終わるケースとなりがち、、待機系をつくる冗長構成であれば、フェイルオーバーとフェイルバックを定期運用に組込み、トレーニングと検証を兼ねた運用はいいかも。
属人性と手順書不備を一気に吹きとばせそう。
ま、運用設計担当が、そこまで力を持てるかはやはり属人性か。。


面白いのが体制を支える人への支援の考え方。

IT技術者を社会インフラを支える社会機能維持者に指定し、社会機能維持者が活動しやすいような環境を整えるよう提言している団体(JIEITA,JISA)がいるみたい。


具体的には、医療従事者、治安維持関係者、ライフライン事業者、国・地方公共団体の危機管理担当、情報提供事業者、輸送事業者、情報処理技術者を厚遇すること。
例えばパンデミック時にはワクチンを優先して回す等。確かに自分の生命が脅かされているのに、「社会機能に相当するシステム」を維持し続けろというのは、使命感という属人性の極みに頼るということなのだろう。


これは、08年7月の厚生労働省の発表した社会機能維持者に、情報処理技術者が明記されたことからも意識の変化が伺える。。ま、実際どんな制度設計かは調べてみたい。