流転工房

シンギュラリティをこの目に

『知られざる「自衛隊災害医療」』 現場の孤立回避と地位向上のために。。





ただし医療の本質は、病院でも部隊の医務室でも、被災地でも海外でも、はたまた有事の際でも、すべて同じことである。 普段の医療行為と災害時の医療行為に、違いはない。

医療を行う環境と人員や医療機器材などの医療資源が異なるだけである。


2004年刊行の災害医療の自衛隊側面から。ニッチ過ぎてamazonでは入手できなさそう。


で、災害医療。

混沌とする現場で、いかに最速で物的人的リソースを投入するか、指揮系統を整えるか、利害関係者を結びつけるか、現場の人間を法的、経済的、名誉的に守っていくか。


本書の問題提起(がほとんどだけど)は興味深い。


災害現場での活動を余儀なくされる救命救急士や救急隊員など、医師以外の者が実際に被災者に(トリアージの)黒タグを付けられるのか、法的にも解決されていない。


災害医療に造形の深い救急医療の先生方は、「自衛隊はヘリで病院に患者を護送してくれればいい。医療は我々が引き受けるから」ということをよく言われる。


ただやはり「各組織ごと」という意識が強く、ヘリや防災装備品などをそれぞれ独自に別個に保有したがる傾向があるようである。


やはり、縄張り意識と現場の人間の孤立はどこにでもある話。

自衛隊は、任務を自衛隊だけで遂行できる「自己完結能力」を持つようだけど、他組織とのタテヨコ連携では、普通の組織と変わらないか。


現場の孤立回避と地位向上のために、、ヒントは得られなかったけど、問題の所在があきらかなら、したたかに行動ができればいいけど。